横丁の路地に入ってみた。延々とつづく赤提灯の列。プーンと鼻腔をつく焼き鳥の匂い。それぞれの店から嬌声が聞こえ、肩を組んだ酔っ払いが通り過ぎていく。日々の生活のなかで体についた埃を落とすため酒場にやってくる男女、そこで起こるドラマ……。まさに河島英五の歌の世界だ。 河島の出発点であるフォーク・グループ"ホモサピエンス"は、2枚のアルバムを発表したがセールス的には惨敗。解散後、ソロ・シンガーとなった河島は、スナックを中心に繰り広げたプロモーション活動が功を奏し、「酒と泪と男と女」が大ヒットを記録する。現在ではカラオケのスタンダードとなったこのナンバーは、フォークの叙情性と演歌の哀愁味を融合したフォーク演歌、またの名を抒情演歌の名曲だ。そして、その後も「♪お前がはたちになったら、酒場で二人で飲みたいものだ……」という一節が泣かせる「野風増〜お前が20才になったら〜」、一度のテレビ出演で火が点いた「時代おくれ」といった日本人の心に染み入るヒット曲を生み出したのである。 現在もCMやドラマの主題歌として河島の楽曲を耳にすることは多い。その歌を聴くと何故だか懐かしい気分にさせられるのだ。なぜなら、彼の紡ぎ出すメロディが日本人だけがもつ"何か"に、直に触れてくるからではないだろうか……。 なお河島は01年4月に、惜しくも48才の若さで亡くなっている。
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1月7日19時0分更新
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